備える、始める“優しい妊活”〜誰でもできるプレコンセプション・ケア〜ダイジェスト版前編


3月8日(火)の国際女性デーを目前に、3月5日(土)~3月8日(火)の4日間、女性と社会に“気づき”を与えるキャンペーン「W week」を開催し、3つの無料オンラインカンファレンスが行われました。その中から、3月5日(土)のカンファレンス「備える、始める“優しい妊活”〜誰でもできるプレコンセプション・ケア〜」をダイジェストにてご紹介します!


スポーツトラベラーの福田 萌子さん、雑誌Hanako編集エディター・コミュニティマネージャーの土屋 志織さん、そしてメディカルパートナーの杉山産婦人科 理事長の杉山 力一さんをゲストにお迎えしたオンラインカンファレンス「備える、始める“優しい妊活”」前編では、「プレコンセプション・ケア」をテーマに、不妊治療について本音でパワフルにディスカッション。

〈左から〉モデレーターW society 事務局長谷村江美、メディカルパートナー杉山産婦人科 理事長 杉山 力一さん、スポーツトラベラー 福田 萌子さん、雑誌Hanako編集エディター・コミュニティマネージャー 土屋 志織さん

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セッション1:プレコンセプションケアとは?

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを示しています。そして、20項目のチェックリストがあります。

杉山先生

プレコンセプションケアって、「自分を知る」ということに尽きると思います。

妊娠・出産とは関係なく、自分の睡眠をしっかり取ること、ストレスを溜めないとか、健康的な生活をするということです。暴飲暴食しない、タバコを吸わない、そういった健康的な生活を送り、年に1回は検診で体をチェックする。


卵巣が腫れてしまう子宮内膜症という病気は、多くの方に見られます。これはひどくなってからだと治療しても不妊になる可能性があるので初期のうちに見つけて、ピルで治療・予防するということができます(内膜症の予防にもなる)。ピルも保険適用で処方してもらえますから、年に1回ぐらいは超音波での検診もぜひ行った方がいいと思います。


土屋志織さん

妊娠を望んでいる方や妊婦さんが、葉酸を積極的に摂取しているイメージはありますが、妊娠がまだなのに、その段階で摂取するのはどうでしょうか?


杉山先生

葉酸は、自分の体のためではなくて、生まれてくる赤ちゃんのために飲むというのが推奨されているので、妊娠を考えた時からでいいと思います。

4月1日から子宮頸がんのワクチンスタート

しばらく副反応が強くて若い人に打ってはいけないのでは?ということでストップしていたのですが、4月1日から再開になります。無料(公費)で打てますのでぜひ、打っていただきたいですね。


土屋志織さん

中学生ぐらいの時に1回打ったかな?という記憶ですが、私たちぐらい(30代)の年齢になってもう1回打っても大丈夫なんですか?


杉山先生

大丈夫です。本来は若い時に打った方が有効性が高いのですが、何歳になっても打った方がいいという意見も多く聞きますので、これから出産を考えているなら、ぜひ打った方がいいと思います。


セッション2:不妊治療大国日本。世界と何が違う?

杉山先生

日本は赤ちゃんの出生が少ないのに、体外受精の「件数」だけはダントツに多いです。体外受精を始める年齢の平均が、37歳〜38歳と高いです。それで同じ方が、5回も10回もチャレンジされるので、年間の件数がぐっと上がります。体外受精を受けているカップルが多いわけではなくて、一人でトライする回数が日本はかなり多いということになります。

日本で、結婚した5組のカップルのうち一組、20%ぐらいが不妊治療を受けています。日本の赤ちゃんが毎年、80万人くらい生まれているといわれますが、そのうち1/14、6万人くらいが体外受精によって妊娠・出産しているということになります。


コロナの影響もあるかもしれませんが、残念ながら順調に出生数は減っています。私が今53歳になりますが、当時私が30代ぐらいのころには、220万人ぐらいの赤ちゃんが生まれているわけですから、現在はかなりの少子化なんです。


体外受精は40歳を過ぎると成功率が一気に低下

杉山先生

体外受精を行う際、30歳で一回の成功率が20%ぐらい、今は技術が高くなりましたのでもうちょっと高い場合もあります。40歳になると一気に7%ぐらいに低下します。これが卵子の「質」の低下ということに繋がっていると思います。年齢が上がると、妊娠しにくいというデータがはっきりあります。


アメリカでは若いうちに卵子を凍らせておこうと、未受精卵凍結がスタンダードになってきています。日本では、当院だけでも、この2〜3年で患者数が3倍から4倍ぐらいに増えている印象があります。


福田萌子さん

卵子凍結を行うことによって、体にかかる負担や、何か子どもにかかる負担はありませんか?

杉山先生

卵子を取り出す「採卵」という作業があります。その採卵の時、多少痛みがありますが、将来には何の問題も無いですし、赤ちゃんもの若い卵子が凍っているわけですから、子供を妊娠する時の年齢よりも若い卵子で妊娠できるので、染色体異常の発症率も低く抑えられるというメリットがあります。

土屋志織さん

アメリカでは、高校生の保健体育の授業で、教科書に不妊治療などの話がたくさん掲載されていると聞いたことがあります。それに対して日本は、保健体育の中で妊娠とはこういうことだよ、というセクション中の一部に記載されていると聞いたことがあります。そういったところも、日本と海外の差ってあるのでしょうか?


杉山先生

高校生ぐらいで不妊について知識があれば、色々とライフプランも変わると思います。でも、日本の教育って結構厳しいところがあって、まず、産まなきゃいけないということを強要するような印象を与えてはいけないとか。やはり、産まない選択をする人と、産みたい人は平等でなきゃいけないというところから、「妊娠しにくい」という表現は教育上好ましくないと言った考えが、背景にあるようです。誰もがそんなことおかしいと思っているのでしょうけど、教科書となると、なかなか厳しいところがありますね。


谷村

ところで土屋さん、1月の「Hanako」の中で妊活特集をされたと聞きましたが反響はいかがでしたか?

土屋志織さん

台湾の不妊治療について紹介したのですが、台湾は不妊治療の成功率がすごく高いので、どうしてなんだろう?と思いました。


不妊治療中、辛かったと書いている人が多く、治療中に寄り添えることは何かないのか?と考えました。


Hanakoラボのメンバーは、結婚していない人も多いです。だから、妊活って結婚して妊娠を考える人たちのためのものだという意識があったんですが、「今から備える」ことが、すごく重要なんだと感じました、などという声を頂いたり、テーマが「ゆったり妊活読本」なので、将来の妊娠のために意識して体を温めたりしていきたいな、というような声がありましたね。


4月1日から体外受精・人工授精が保険適応になる!

杉山先生

繰り返しますが、日本は不妊治療の大国です。私は2年前、菅前首相が総理大臣になられた時に何度か総理と面会し、日本の現状をお伝えした結果が実りまして、4月から体外受精・人工授精がついに保険適用になります。これは長年、保険適応へという意見がありましたが、なかなか「不妊=病気」という認識にならず、保険適応になりませんでした。でも、とにかく女性のためにこれを保険にしようという菅前首相の想いが通じて、保険適応になります。


逆に言えばこれは「不妊=病気」だということが日本で認知されたわけですから、プレコンセプションケアをすると病気にはならないという努力も、当然しなきゃいけないのです。不妊治療が保険だから安易に受けるということではなく、病気にかからない努力をするということは当然大事になります。またそれを一緒に勉強させていただければと思って楽しみにしています。


後編では、「プレコンセプション・ケア」をテーマに、AMH検査について、婦人科の受診頻度、視聴者の皆様からのQ&Aにお答えします!

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後編に続く